バナバナ

レッド・コーナー 北京のふたりのバナバナのレビュー・感想・評価

4.5
中国を舞台に、アメリカ人に殺人容疑がかかる法廷サスペンス物。

最初ユイリンは、公選弁護人としてジャックを直刑から救う為に必要最低限の事しかしようとしない。
それを見兼ねたジャックが、自身の弁護士の知識を生かして、自分を弁護しようとするところが面白い。
そして二人はもちろん、アメリカ、中国の価値観の違いで対立したりもするのだが、ジャックの周りで不可思議な事件が続き、ユイリンもジャックの無実を信じるようになっていく。

途中ユイリンは、少女期に文化大革命の嵐に巻き込まれた事が分かってくる。
彼女が、ジャックを犯人に仕立て様としている当局と真剣に闘うという事は、彼女の破滅を意味する。
しかし彼女は「今度こそ、逃げたくない」と、自身の未来を犠牲にする覚悟で、危険な領域に踏み込んでいくのだ。

私は中国の文化大革命の時代を書いたノンフィクション「ワイルド・スワン」を読んだことがあるので、このユイリンの決死の覚悟に物凄く感銘を受けた。
この辺りが回想シーンではなく、あくまで台詞で説明しているだけなので、中国の文化大革命がどういうものだったか全く知らない人には、この重大さが解らないかも。

法廷サスペンスとしては、完全に保釈されていないのに結構自由に殺人現場に行けたり、それまで当局寄りだった裁判長が、突然の証人喚問を結局許可したりと、そんなの日本でも無いよ~、と甘いところもある。
しかし、このジャックとユイリンが国籍を超えて共鳴するところが、すごく感動的なのだ。

2022.5.4.追記
余計な事ですが、このユイリン役を演じていたバイ・リンさん、昨年アメリカの空港で高額の万引きをやったとかで捕まってました(汗)。
中国にいながら世界的に売れっ子のチャン・ツィイーよりも、よっぽど演技も英語も上手いと思うのに、この作品以降あまりパッとした役はやっていない。
海外で女優を続けるという事は、大変なんだろうな。
それとも、更年期障害かなんかの影響だったんだろうか…?
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