さすらいのエマノン

生きてこそのさすらいのエマノンのレビュー・感想・評価

生きてこそ(1993年製作の映画)
3.5
初見はレンタルビデオでの鑑賞でした。実話を元にした壮絶な物語に茫然とし、強く記憶に刻まれた作品でした。ラストに流れる『シューベルトのアヴェマリア』が非常に印象的で、この曲に触れる度に本作を想起していました。
youtubeで少女達が唄うのを聴いて感激し、本作を観返して見たくなりアマプラビデオで試しに検索してみたらヒットしたので鑑賞し直して見ました。
再度、観た感想は(やはり、数十年前のメソッドで創られた映画だったな)と云うものでした。カナダのオープンセットで撮影されたシークエンスでは、演者達の吐く息が白くなかったり白かったりします。当たり前です。撮影当時はCGの技術が完成されておらず、例えVFX担当がILMでも不可能であるし、寒冷期に撮影を強行すると演者達の体調が崩れてしまいます。先ずはここで鑑賞するモチベーションが削がれます。そして、演者達の殆どが男性なのですがヒゲと髪がボサボサに全然ならない。なにこれ? と思いました。そこはリアリティを追求して欲しかった。
これらの枝葉末節が気になり作品に没頭出来ませんでした。
ただ、実話をベースに紡ぎ出されるテーマは普遍的なものです。邦題が的確に現している通り(生きてこそ)浮かぶ瀬もあるのです。難事にぶつかっても自死などを選択せず、生きていくことこそ、人の生きる道であるのです。
今の困難な時世に難渋している方々、特に若者たちに強く推薦したい作品です!