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天使のくれた時間のtakaoriのレビュー・感想・評価

天使のくれた時間(2000年製作の映画)
4.0
2024年10本目

ニコラス・ケイジと言えばトンチキな映画にばかり出ている印象があるが、本作は正統派のヒューマン・ドラマであり、ケイジの代表作にふさわしいのではなかろうか。
クリスマスの夜に出会った天使(ドン・チードル演じるチンピラ風の黒人というのがまた面白い)の力で、ありえたかもしれないもうひとつの人生をかいま見る…というストーリーは、不朽の名作『素晴らしき哉、人生!』を踏まえている。どちらも、家族がいる普通の暮らしの幸せを語る映画ではあるが、本作は「手に入れようと思えば手に入ったのにそうしなかったもの」を見せるという、ある意味とても残酷なストーリーである。だって、どんなに幸せな暮らしを送っていても、「別の幸せ」はありえたわけだから。ラストシーンで、雪の降る空港でコーヒーを飲みながら話すジャックとケイトの姿は美しいが、2人がこの後どうなろうとも、夢で見た2人の可愛い子どもに会えるわけではない。
この映画は、それこそクリスマスに家族で見れば「フェラーリには乗れなかったけど、幸せな家族がいてよかったね」と和やかになるのだろうが、別の境遇の人間にはひたすらに切ない映画である。
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