アンジェイ・ワイダ監督作。
第二次世界大戦終結直後のポーランドが舞台。ロンドン亡命政府側の二人の若者が労働党書記を暗殺し破滅するまでの1日を描いた話。
同監督の『地下水道』とだいぶ印象が違う映画だった。『地下水道』は戦争のえげつなさを強烈に見せるタイプの映画で群像的だったけど、こちらは一人の男の反抗と恋愛の切ない結末を見せる類の映画だった。
というか当時ソ連によって共産主義化されてるポーランドで、西側で大流行中のジェームス・ディーンみたいな主人公によくできたなぁと結構驚いた。
確かに書記官を暗殺した結果全てを失うという役柄だから国もこの映画も認めたのかもしれんけど、むしろ若者が恋に革命に生きるカッコよさに触発されちゃいそうだ。何というか灰になるラストだけど映画内の主人公は間違いなくダイヤモンドだった。
演出も暗喩が上手くて、クライマックスは印象的なシーンの連続。殺害シーンの花火やら銃に撃たれる場面でシーツが干してあって血と対比させたり、ラストはゴミの山の上で死んだり、こんな象徴的な映画を撮るのかと露骨な演出の多い前作見た後だったので意外に思った。
ただ魅力は主人公そのものな映画だったので、意外と期待していたサスペンス性は少ないし『地下水道』の様なえげつなさはないので、自分はそこまで引き込まれなかった。
あと関係ないけど監督作2作ともピアノシーンがあって、さすがショパンの国だよなぁと思ったりもした。