まっと

蒲田行進曲のまっとのレビュー・感想・評価

蒲田行進曲(1982年製作の映画)
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価値観を令和にアップデートしたら多分もう作られない類の映画だと思う そして私自身こういう男のプライドに振り回される女(子持ち)の図が怖くて嫌いで逃げてきたタイプの人間なんですけど 何でこんなに泣けるんだろう美しいんだろう

だいぶ劇的に大袈裟に描かれる男と女の感情 兄貴と舎弟の感情 使命感だったり芸術感だったり 全部が「そのまま」で泣いてしまう 暴れたあとのヤスが言った言葉が全てだ 全身が苦しいんだ

そしてテレビの向こうから理性を働かせたら「階段から、落ちるな!!!」と思ってしまう階段落ちも でも親分の舞台を派手に彩りたいんだもん 活劇を撮りたいんだもん 一瞬「正しい」「理性」を吹っ飛ばさせる美しさ こういうのが映画なんだ……何でこの美をスクリーンに映すかって、スクリーンだからですよね 映画は撮られた画であることからは逃れられない だからこそいつか現実に否定されるかもしれない美しさを描ける、残せる
当時を生きていないので平成生まれの感想ですが 解体されかけた大階段やオチや このときすでに消えゆく美になることは織り込み済みだったのかなあ
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