わきお

蒲田行進曲のわきおのレビュー・感想・評価

蒲田行進曲(1982年製作の映画)
4.0
◾️途轍もない熱量を放つ歴史的作品

記念すべき1000レビュー目は相応しいを選ぼうと思っていました。悪くない選択だと思ってます。

破天荒な性格ながら面倒見がよく慕われる存在であるスター俳優の銀四郎は、彼を慕う大部屋俳優のヤスにある日突然自分の恋人である女優の小夏と結婚するように迫る。小夏は銀四郎の子を宿しているが、売り出し中である銀四郎にとっては体裁が悪いため、考えた末にヤスを小夏を預けることにしたのである。銀四郎を慕う思いと小夏の一ファンであったことからあっさりと引き受けるヤス。小夏に少しでも良い生活を送らせるため彼は危険な役回りを次々に請け負うようになる。銀四郎への想いを捨てきれていなかった小夏であったが、やがて真っ直ぐなヤスの言動に惹かれていき…
というお話。

邦画史に残る快作を初めて鑑賞しました。いやはや、熱量がとんでもないですね。
長回しのセリフ、殺陣、そしてなんといってもクライマックスの階段落ち。娯楽としての映画、演劇の熱意を結集させたような作品です。
人物描写も秀逸です。寂しさを紛らわすように派手な人物として振る舞う銀四郎(王将キャデラックは衝撃笑)。終盤、ウダツの上がらないキャリアと命をかけて挑む階段落ちとの板挟みにあい破裂寸前となるヤス。ヤスに移りゆく想いとかつて寄せていた銀四郎への想いに揺れ動く小夏。皆それぞれ非常に良いキャラクターでした。それぞれに悪い部分があり、それがかえって人間臭さをまとわせています。

有名なラストの爽快感は屈指。解釈が分かれるシーンですが、この蒲田行進曲も一つの映画作品であることを伝えたかったのではないでしょうか。映画・演劇愛に溢れた粋な演出だと思います。

この熱意、邦画界は取り戻せるのだろうか。少なくとも本作が道標になる気がしています。

松坂慶子かわいいなぁ。

★★1000レビュー目★★
わきお

わきお