ケンヤム

狂い咲きサンダーロードのケンヤムのレビュー・感想・評価

狂い咲きサンダーロード(1980年製作の映画)
5.0
再見。大好きな映画のひとつ。

青春の有り余ったパワーを表現仕切った映画。

狂ってるといってしまえば、そうとしか言いようがないのだけれど、有り余った青春時代特有のパワーを持っているという意味では、この映画の主人公と私たちはおなじだともいえる。

主人公は、青春時代特有のパワーをコントロールするという術を知らなかったというだけで、周りの暴走族とは異質の存在となり、どんどん孤独になっていった。
主人公は孤独になっていることを自覚していない。
手足を切られ、退院したあと徘徊するが、そこでも孤独に苛まれているようには見えない。
「バイクに乗りたい、なのに乗れない」
主人公の苦悩は、青春時代特有のパワーを持て余しているということでしかない。

右翼の大人たち、そして警察という大人たちに迎合していく仲間たち。主人公の生きている理由は、そうしたダサいやつらへの反抗だけだ。

まっすぐで、滑稽で、狂気じみた青春のパワーに私たちは心奪われ、心底憧れる。
魅力的と感じると同時に忌避したくなる。
こうはなってはいけないと自分に言い聞かせる。

狂った映画の魅力はそこにある。
自分の中にある、破滅願望を顕在化させてくれる映画。
ケンヤム

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