もっさん

東京暮色のもっさんのネタバレレビュー・内容・結末

東京暮色(1957年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

昔に1本だけ唯一観た黒澤明監督の作品があまり好みではなく、元々今の邦画すらほとんど観ないのですが、古典映画好きの友人のレビューで気になったのでお初の小津監督作品鑑賞。友人も僕は暗く思い作品を好むのでどう感じるか気になると言ってくれたので。

資料を観ているかのような時代風景が広がってました。
まだ戦前頃のお話でしょうか。
当時の街並感が当然リアルでしたね。
少しずつ看板とかにアルファベットが増えてきていたのかな。
当時の喋り口調で、人によっては字幕なしで観たら何喋ってるかわからなかった。笑

暗い映画とは聞いていたのでその心の準備だけはしていましたが、暗いですね。加えて夜のシーンが多いゆえに必然的に画が暗くなる。リマスターされてなかったらどれだけ暗いんだろうか。

次女の明子は今でいう不良少女的な描写なのかな。
でもお父さん1人で育ててくれたという感謝の気持ちはやはり持っているのか、すごく反抗的な態度は取らない。
私生活がだらしないから子どもを授かってしまって、自分より若い相手に逃げるような態度を取られる。若い時のベンジーに似てるな。
ベンジーは最後偶然会った時はおそらく一緒に頑張る覚悟を持って来たんじゃないでしょうか。でも遅かったんだね。
その態度に明子も激情にかられちゃったんでしょう。
ここでも男女のすれ違いを表してましたね。
この家族はみんなすれ違ってんな。
お父さんも最後の方に言っていたけど、やっぱり男親には相談しにくい事なんだろうな。自分もその時気をつけなきゃな。
中絶後の家での子どものシーン、、。

電車に跳ねられたシーンだけがちょっと不自然に感じました。当時の電車だからスピードが遅かったのかなとか思うけれど、あまりに顔が綺麗過ぎる、、。ってか普通即死でしょう。あれだとあのまま生き返ると思っちゃったよ。
でもやっぱり死に際に改めたいって思うんだね。
最後まで明子の笑顔は一度も見れなかった。

僕は作中やっぱり明子に感情を移入しちゃったな。
生まれてこなきゃ良かったと思う子どもの親って、大体良い親がいるんですよね。いい親父さんだったもんなこの作品も。自分も未だに親に申し訳ないっていつも思うから泣きそうだった。

暗いシーンでのあのBGMの違和感、やっぱりみんな思うんですね。古いものに帰ってくる人の感覚は良いですね。

はじめて観た小津安二郎さんの作品ですが、監督にしては異色作だそうで。
作品の組み立て方が流石にお上手だなと感じました。日本のみならず世界の後世に影響を与えてるのも頷けます。
古典の苦手意識はおかげで払拭出来たのでまた観たいな。

アベノマスクは孝子のマスクのオマージュかな。んな訳ないな。
もっさん

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