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東京暮色のtのレビュー・感想・評価

東京暮色(1957年製作の映画)
4.5
怖すぎる。夜のシーンでの照明は下手なホラーよりずっと怖い(素晴らしい)。女性たちには常に子の亡霊がまとわりつき離れない。冒頭から死者のように顔を覆われた赤ん坊、サイレンや犬の鳴き声、そして暗闇に開け放たれた襖(大抵そこからは有馬稲子が現れるのだが)からいつ霊が姿を現わすのかとずっと怯えていた。杉村春子と笠智衆が昼食に行く辺りでも霊の視点のような意味深な角度からのショットが挿入され怖い。
麻雀店で肉親の死を2度報告される山田五十鈴。麻雀店に飾られた女性の横顔肖像は、有馬稲子が同じ向きに並ぶ時死相を連想させる。怖い。
珍々軒(すごい店名だ)での電車の音、酒をこぼすこと、そして外に出たら風が吹いている、この辺りの演出も怖すぎる。全編通じてやかん・急須の映り込みようさえ怖い。
久々に小津を観たがやはりショットの構築性には平伏すほかない。
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