ひちょ

箪笥<たんす>のひちょのネタバレレビュー・内容・結末

箪笥<たんす>(2003年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます


面白かった!
個人的に好きなホラーが、霊的なものが存在しているのではなく、何かしらが見えたとしてもそれはその人が認識している現実であって他の人からは見えていない・・・みたいなものが好きなんだけど、これはまあそんな感じだった。

信用できない語り手としての主人公。
父親がずっと主人公の姉にしか声をかけていないところを見るに恐らく妹は存在していないんだろう、というのは割と早い段階で想像できたけど、もしかして継母(ウンジュ)もほんとうは存在していないのでは?という想像はなかなか受け入れ難かった。
時系列がおかしいのでは?と思ったんだけど、そもそも現実のウンジュが家にやってくるまでわたしたちが見てきたものは、全て主人公が受け入れられなかった過去を作り直したものだった、という・・・


以下、自分が理解しやすくするためのメモ

▽現実
・姉妹とウンジュの折り合いが悪い
・母親が箪笥の中で自殺する
・妹がその箪笥の下敷きになる
・ウンジュがそれを発見するも見殺しにする
・主人公に「後悔することになる」と言うウンジュ
・主人公は妹を助けることはできなかった
・主人公はウンジュになりきって父親の弟夫婦と食事をした
・主人公の認識する妹(幽霊?)をウンジュになって折檻していたのも主人公だった



▽主人公の妄想(認識)
・父親は病気の母親を捨ててウンジュ不倫していた(妄想かは定かではないが、少なくとも主人公はそう認識していた)
・ウンジュは妹をひどく折檻していた(主人公はその妹を少なくとも一度は助けられたと認識していた)
・最終的にウンジュが妹を箪笥に閉じ込めて殺した


ただ、流し台の下にいた何かが最終的にまた登場する訳だけど、母親が自殺した時も出てきた粘着質の水分がその時にも登場するから、恐らくだけどその何かは母親なのかもしれない?
また、ウンジュが箪笥に押し潰されてもがく妹を見殺しにしたのは間違いようのない事実だし、同僚にしては父親とあまりにも距離が近すぎたであろうことも恐らく事実だし、主人公たち姉妹とその母親に対してネガティヴな感情を持っていたことは確かだと思う。
直接的な要因ではないにしても、母親を自殺に追い込んだのも妹を殺したのも一種ウンジュであると。

なんか父親が嫌だったな。受動的過ぎるというか、たぶん母親が生きていた時からずっといろんなものを見て見ぬふりをしてきたんだろうなという感じ。主人公があの状態にあっても、受け入れているといえばとても耳障りがいいけどただ波風を立てないようにしているというか・・・もちろん暴れたりする主人公を何度も何度も見てきたから疲れてしまっていたり、自分自身の自衛のためでもあったんだろうけど。

もう一回見ていろいろ考えたいな!おもしろかった。
ひちょ

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