oukayuka

ワンス・アンド・フォーエバーのoukayukaのレビュー・感想・評価

4.0
ベトナム戦争において、米軍と北ベトナム軍との最初の本格的な戦闘だった1965年の「イア・ドラン渓谷の戦い」を描いた作品。
冒頭、フランス軍の小隊が圧倒的な数のベトナム軍に包囲殲滅されるシーンから始まる。その10年後、ムーア中佐率いる陸軍航空騎兵連隊が編成され、ベトナムへの派兵が決まる。その直前の演説で、中佐は「私が最初に戦場に足を踏み入れ、私が最後に退却する。誰も置き去りにしない」と兵たちに誓う。

前日に米軍基地を襲撃した北ベトナム軍を追撃するため、カンボジア国境近くのイア・ドラン渓谷に第7航空騎兵連隊450名をヘリ空輸で展開。しかし待ち構えていた4000人の越軍によって包囲され、絶望的な状況に。
それでもムーアの的確な指揮によりなんとか戦線崩壊を防ぎ、司令部から大規模航空支援を取り付けて挽回、4日感に渡る激戦の末、なんとか辛勝する。

最終的に米軍は投入兵力1000名のうち、約300名が死亡、負傷者は500名以上という大損害を被る。戦闘中は兵士は次々被弾し体が吹き飛び、あちこちで「メディーック!(衛生兵)」の声が上がる。そんな混戦で主要キャラがどんどん死んでく中、ほぼ棒立ちのムーアに弾が全然当たらないのは主人公補正のお約束。

直前に見た『フルメタル・ジャケット』と比べると、真面目すぎるほど真面目な作りの映画。兵士は家族を大事にし神に祈りを欠かさず、夫の帰りを待つ妻は進んで遺族に電報を届ける役を引き受け、泣き崩れる相手を慰める。
またベトナム側の視点も織り交ぜ、公平さを保つよう心がけて作られた跡がうかがわれる。それらが逆に作り手が何を伝えたいのかわかりにくくしており、人の記憶に残るような作品にならなかったのかもしれない。
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