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たそがれ清兵衛のmatoのネタバレレビュー・内容・結末

たそがれ清兵衛(2002年製作の映画)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

なんとかっこいいシングルファザーだろう。酒や女に興じず、娘たちを懸命に愛する実直さは美を感じさせる。勉学に理解があり、勉強は何のためかと娘の質問にも「考える力を身につけるためだ」と諭し先見の明もあったとみえ感服。

余吾善右衛門との決戦。家族の命運が重くのしかかり一気に緊張が増した。そのため勝利した際には、ホッと 胸をなでおろした。
余吾が刀を柱に食い込ませ敗北したのは間抜けすぎて悲しい。また、娘の骨をボリボリ食べることにかなりの衝撃を覚えた。

3年後、清兵衛は戊辰戦争で亡くなる。だが、娘の回想より彼の想いはいつまでも彼女らの心に残り続けた。その愛の偉大さには深く感じいった。


ps.
・挿入曲は抑えめ。ゆえに、全体に流れる場面の静けさは、自然音を掻き立て、忘れかけていた日本情景の良さに気付くだろう。
そんなリアルに近い世界では、アクションも純粋。時代劇定番の殺陣やぶった切る効果音はない。ただ生々しい鉄の衝撃音と血生臭い死体があるだけ。
この作品世界は地味だ。だが、それこそが脚色のない日常を再現し、ナマの良さを再認識できるものとなっている。

・朋江の働きで内助の功の大切さを学んだ。あんな品性のある女性に立てられたら闘志もみなぎるだろう。日本女性の美しさはここにも。

・たそがれで仕事が終わるのが羨ましい。
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