ゆうひ

黒い家のゆうひのネタバレレビュー・内容・結末

黒い家(1999年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

設定、演技、風景、家屋、
会話の雰囲気、狂ってる感、グロと
最高すぎて「これは……!」と思ったのに、
途中から主人公の保険屋の行動が
誘い受けすぎて冷めてしまった……。

いくら攻撃し慣れてないと言っても
あれだけ鍛えてる男が
おばさん一人相手に
あんな風になるのも納得しづらいし、
そんなにビビるなら一人で乗り込むな。
そもそも一人で捜査しようという
首を突っ込んでいく性格が
映画の中だけではピンと来なかった。
そんなに正義感があったのか?
犯人をあそこまでぶっ飛んだ感じにするのなら、
保険屋までぶっ飛ばさなくても
成り立ったと思う……。

あと一歩で日本版悪魔のいけにえみたいな
とんでもない名作になったのでは?
本当に惜しい!と個人的に思った。
例えば最終決戦の地をしのぶ宅にして、
罠をしかけてくるタイプの戦法にすれば
内野と渡り合っても全然おかしくないのでは。
そうすればあともう1、2個グロが見れたし。
滑稽なのはどうしたって変わらないし。

あと、人間の心があるないの話になっていて、
ないが有力な雰囲気あったのに、
最後「同じことして……」の名台詞で
結局虐待に傷ついてただけ?と困惑した。
せっかくキャッチコピーにもなって
モンスター感出てたのに
常人にも理解できる解答のようなものを
出された感じがして私は微妙だった。
心について真面目に問うには破天荒すぎたし、
同情を引くにはモンスターすぎたし、
モンスターにしては説明がつく。
うーん。

こんなに書いたけど面白かったからこそ
嫌だった点を熱く語ってしまう感じ。
何を置いても女優俳優が良かった。
大竹しのぶはすごい。
人怖系を演じたら日本一クラスでは。
さんまはネタにしてるけど尊敬してるんじゃない……!?
西村雅彦もハンパない。大好き。
入院してからの感じも可愛くて可哀想で
モンスターファミリーのキャラとして
完全に成立している。
内野聖陽は臨場のイメージで上書きされて
忘れていたけどそういや昔こんなんだった。
カッコいいし爽やかでよい。
演技も、地味な役なのに絶妙だった。

あといきなりカズヤが死んでるシーンが大好き。
何気にあのシーンが一番ホラー。鮮烈。
あんなのなかなか無いと思う。
この家は狂ってるという演出としてすごい。

犯罪心理の先生が酷い死に方をしたのは
ホラー的にスッキリした。
やはりああいう役は
ああやって死なないといけない。
余裕かましてたけど
どんな顔して拷問を受けたのか?
内野さんが何度か見てもない光景を
想像している場面があったけど
あんな感じで先生の最期も少し映してほしかった。

あとなにげに
工場や丸いガスタンクを背景に
質素な家々が並んでいる風景が
一番好きだったりする。
最低の夏の情景が自分の中に追加されて嬉しい。
ゆうひ

ゆうひ