松浦義英

この子の七つのお祝にの松浦義英のレビュー・感想・評価

この子の七つのお祝に(1982年製作の映画)
2.5
怖い。
岸田今日子と岩下志麻がとにかく怖い。
「私は13の時に女になったわ。月に一度、血を見る度にお母さんが催促するのが聞こえた」
生きた心地しなかったんだろうなあ。
「殺してやる…」ってつぶやきながらマチ針を刺しまくる岸田今日子。

夫が元婚約者と作った子供を不慮の事故で亡くなった自らの子供と重ね合わせて誘拐して親父を一方的に悪く事実を捻じ曲げて吹聴して怨みを募ると。
子供を完全に道具としか見てない母親。
「お母さんはこの痛みよりもずっと苦しいのよ…」とか言って焼きゴテを顔に押し付ける虐待。
元旦那から貰った500万のお金があるのに「お父さんはお金全部持っていったのよ」とか言って娘にご飯も食べさせない虐待。
そして極めつけは七歳の誕生日に娘の前で自殺。

ストーリー的に政治家要素は?だったけど、引揚者との絡みはさすがの松本清張。
市役所が空襲受けて戸籍が…は『砂の器』だね。

手相を見る腕が凄いんだったら真相の「娘の手相と母親の手相が一致しない」ってのに早めに気付きそうなもんだけど、7年も吹き込まれてたらそういう事実すら捻じ曲げるんだろうか、人間は。

遺体の刺し傷が真面目にグロい。
日本人形がただただ怖いけど、5つなのはなんでだろう?
ラストの岩下志麻の目の怖さはヤバイ。
そこに被る岩下志麻の怖い『通りゃんせ通りゃんせ…』

岩下志麻の今後を思うと、実の母親は死んでるし育ての親は自殺したし、自分を愛してくれて自首を勧めてくれた男は殺しちゃったし。
どうなるんだよ。

岩下志麻と岸田今日子の演技が怖すぎて、逆にこの人たちが可愛く映ってる映画があるのか心配になるわ。
松浦義英

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