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大誘拐 RAINBOW KIDSの福福吉吉のレビュー・感想・評価

大誘拐 RAINBOW KIDS(1991年製作の映画)
4.5
◆あらすじ◆
大富豪の主の柳川とし子はある日、三人組の男に誘拐される。犯人たちに服従するとし子だったが、犯人の身代金の額の低さに激高し、とし子は自ら身代金を100億円として犯人たちを従えて身代金略取に動き出す。

◆感想◆
出所後のチンピラ3人組が誘拐を企むもいつの間にか誘拐された老女に主導権をとられ、老女の策略が警察や世の中を手玉をとっていく姿を描いた作品であり、独特の緩い雰囲気の中で誘拐される老女の気概や天才的な頭脳の凄さを感じられて面白かったです。

誘拐犯のチンピラ3人組はどう見ても悪人面には見えず、全ての行為におどおどした感じがあって、最初から駄目な感じがしていました。元窃盗犯なので善人ではないのですが、どこまで行っても小悪党がせいぜいという器の小ささが面白かったです。

そして、誘拐される大富豪の柳川とし子(北林谷栄)がとにかく陽気で気品があって器の大きさを感じさせる人物でした。とし子の一言一句に温かさがあって、犯人たちの善性が引っ張り出されるのも仕方ないように感じました。それでいて、頭がもの凄く良い。誘拐のリーダーになったとし子の計画は警察や家族を手玉に取り、とても痛快でした。犯罪行為に面白みを感じてはいけないのかもしれませんが、これぐらい完璧にやられると笑うしかなかったです。

一方、警察では柳川家と縁のある井狩大五郎(緒形拳)が捜査の指揮をとり、警察の中でも特にその強者ぶりが光っていました。緒形拳の演技が警察での鬼上司ぶりととし子と接しているときの優しい笑顔に落差があって、とても良かったです。

ストーリーの序盤のチンピラ3人組が誘拐に至るまで少しモタモタした感じがしますが、誘拐後はストーリーが一気に面白くなっていきました。その面白さが最後まで続き、ラストの痛快さと温かみにしっかり繋がり、楽しかったです。

とても面白い作品でした。日本映画が苦手な方にも是非観てもらいたい一本です。

鑑賞日:2024年2月2日
鑑賞方法:BS松竹東急
(録画日:2023年1月5日)
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