シドニー・ポワチエの映画は「なら能力も人格も優れていない黒人はどうなる?」問題から抜け出せていないものが多く、これもその一例ではあるものの、時代を考えれば重要なマイルストーンだろう。
それに、黒人差別を描いた多くの映画と違い、この映画で差別心を疑われるのはいかにもな保守層ではなくリベラル層であり、かつそれを演じるのがスペンサー・トレイシー&キャサリン・ヘプバーンというキャストの妙。
いの一番に結婚に反対するのが黒人家政婦というのもやるせない。
それでいて意外と笑えるシーンもあったりして、堅苦しい感じはしない。
スペンサー・トレイシーがああだこうだヘプバーンに理屈をこね、イベントを避けようとする姿は夫婦漫才みたいだ。
ポワチエも作中で聖人君子のような扱いをされているが、意外に皮肉屋でセリフが楽しい。