土屋ノリオ

招かれざる客の土屋ノリオのレビュー・感想・評価

招かれざる客(1967年製作の映画)
4.5
筋金入りの社会派のスタンリー・クレイマー監督が、当時のアメリカ社会での最大の社会問題である人種差別に取り組んだ本作を午前十時の映画祭8で鑑賞。1967年当時はアメリカ合衆国の17州で、異人種の結婚が厳禁されており、違反者は犯罪者として投獄されていた中で、本作を制作したスタンリー・クレイマーの勇気は凄まじい。

「見事な脚本」
「各人物の描き分け」
「出演者の演技」
「黒人メイドのキャラクター」

ミステリーに思ってしまう邦題なのだが、中味は全然違っていて、いつもはきれい事を言っている人たちが、当事者になって初めて偏見を理解する葛藤のドラマは、芸術的な名作と呼ぶに相応しい一本!

*本作の公開された同じくらいの時期に、黒人の女性と結婚した罪で投獄されていたバージニア州のリチャード・ラビングの訴訟が連邦最高裁で裁かれ、異人種による結婚を禁止する法律は憲法違反の判決が出て、アメリカでの異人種による結婚は最終的に合法になる。

リチャード・ラビングのことは、昨年公開された『ラビング 愛という名前のふたり』で見事に描かれている。こちらも非常に良い映画でした!
土屋ノリオ

土屋ノリオ