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復讐するは我にありのriverislandのレビュー・感想・評価

復讐するは我にあり(1979年製作の映画)
3.5
 西口彰事件を下敷きに、殺人鬼が犯行を重ねる様子を淡々と映し出した作品。なんとも後味が悪い。「悪」を丁寧にかつ物語性のあるものとしてではなく、ただただ理不尽で惨いものとして映し出す。やはりこういうたぐいの作品は冗長な演出なしに淡々と出来事を映し出すほうが救いようのないもの(もちろん良い意味で)になるのだなということを改めて感じさせられる。
 何より名優たちの怪演が恐ろしいほどに強烈な印象を残す。榎津と『砂の器』の三木謙一とが同じ人間によるものだとはどうしても信じられない。この作品の緒形拳は芯まで悪・暴力のみで埋め尽くされていて、どうしても目を背けたくなる。あまりに怖く不快で見ていられない。三國連太郎は余りに魅力的。「ズルいところが好き」という和子の気持ちがよく分かるような気がしてしまう。
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