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ハワーズ・エンドのruiのレビュー・感想・評価

ハワーズ・エンド(1992年製作の映画)
4.1
イギリスの美しい田舎風景、食器・家具、装いとは裏腹な音楽がまず印象的。
青い花が画面いっぱいに広がるのに音楽は荒く流れが急速、どこに行き着くのか流されるままにといわんばかりの曲調は、登場人物たちの人生を残酷なほど素直に表していた。

アンソニーホプキンス。今年の主演男優賞でしたね…約20年前のこの作品、一度だけある泣くシーンがかなり印象的でした。

若草物語を彷彿とさせるような、こちらはイギリス文学。
文学含む「芸術」を教養の一環、あるいは人格形成の装飾品のように扱うウィルコックス家と、
芸術を日常の一部として自らの血肉とするシュレーゲル姉妹やレナード。ここが階級段階関係なく、人として惹かれあうのは至極当然。

優しさは心の許容キャパからくるものだと思うし、想像力も必要。それらを作る一環に芸術が位置していたと思う。
欲望、誘惑は人間なら当たり前。それらの感情に責任を持てるかは心の器次第。広いことも大事だけど、頑丈さも必要。ヘレンの信念、マーガレットの優しさを見習いたい。

過去や目の前の事、身の回りの小さな範囲を守る事でしか自分たちの時を生きれないウィルコックス家。最後のドリーの台詞でそう解釈しました。
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