キミシマユウキ

ザ・ファイターのキミシマユウキのレビュー・感想・評価

ザ・ファイター(2010年製作の映画)
3.7
プロボクサーのミッキーはヤク中の兄ディッキーや過保護な母親、そして複雑な家庭環境に囲まれながら試合になかなか勝てずに悶々としていたが…

「TED」のマークウォルバーグ・「ダークナイト」のクリスチャンベイル出演、実在のボクサーミッキーウォードの半生を描くスポーツ伝記映画。
監督は「世界に一つのプレイブック」のデヴィッドOラッセル
アカデミー賞2部門受賞。
先日鑑賞した格闘映画「ウォーリアー」に感動して別の格闘映画に挑戦。

ボクシングの戦いが中心かと思いきや家族や周りの人々とのヒューマンドラマがメインの良作だった。
「ウォーリアー」のような鳥肌格闘戦を期待して見ると少々肩透かしな気もするが、実話を元にしているだけあって人間ドラマを非常に丁寧に描いている。視聴者は超絶過保護なモンスターペアレントの進化系のような母親と、ボクシングのアドバイスは一流なのにヤク中&犯罪者でどうしようもない兄に振り回されながらも奮闘するミッキーを応援したくなるだろう。ボクシングでの戦いもタメにタメて一気に放つ必殺技のような短くも興奮できる戦いを楽しめる。
また音楽の選曲も自分好みで特に
”The Heavy - How You Like Me Now? ”
なんかは多分日本のCMなどでも流れているので馴染み深くテンションが上がる。(一応MVのリンクも貼っておきます。)
https://www.youtube.com/watch?v=sVzvRsl4rEM

主演のマークウォルバーグはコメディからサスペンスそしてついには「トランスフォーマー」のような大作にまで引っ張りだこだ。味気のない質素な顔が周りに振り回される弟キャラにピッタリで筋肉の付き方もカッコイイ。というより年々マッチョになってないかこいつ?あぁ自分も筋トレしなくてはという焦燥感に襲われる。
ヒロインは「魔法にかけられて」でプリンセスを演じたエイミーアダムス。あのお姫様のイメージが未だに強い自分は場末のバーで
「ケツがイカしてるぜあの女はよぉ」
とか酔っ払ったおっさんに言われてるところに違和感を感じるが、たしかに良いお尻だ。こんな彼女できたら自分だって世界王者目指します。俗に言うアゲマンだった。
そしてやはり特筆すべきはヤク中のクリスチャンベイル。
このカメレオン俳優は再びやってくれました。「アメリカンサイコ」でキチガイサイコキラー、「マシニスト」で死にそうなくらいガリガリ、そして筋骨隆々のバットマンまでこなす彼のクスリ漬け迫真の演技は言うまでもない。アカデミー助演男優賞も納得で、頭もハゲ、ガリガリで挙動不審、もうあのイケメン俳優の面影もないが、なぜか憎めない兄貴だった。こんな兄貴欲しくはないけど…

ボクシングシーン自体はそこまで多くないので終始男同士のアツイ戦いが見たい!!という方は少し期待ハズレかもしれないが、リアルな人間ドラマ、そしてその背景を知ってる故に興奮できる一撃の拳の重みは他の格闘映画に負けていないと思う。

~オマケ~
先日「フォックスキャッチャー」のレビューの中で”伝記映画は苦手だ”と書きましたが、これはしっかり好きでした。結局監督がどう作るかと取り扱う題材次第ってことですね(笑)それはフィクションでも一緒か…深い!!

格闘映画好き、伝記映画好き、人間ドラマ好き、マークウォルバーグ、エイミーアガムスのファン、そしてカメレオン俳優ベイルのクスリ漬けっぷりを確認したい方にはオススメの作品。