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ザ・エージェントのkaz666のレビュー・感想・評価

ザ・エージェント(1996年製作の映画)
4.4
キャメロンクロウ作品のなかでは、ペニーレインがずっと一番好きな作品だったのだが、昨年ぐらいに何気なしにこの作品を手にとってみたら、一番好きな作品になってしまった。
個人的な嗜好でいくと、いい音楽といい世界観といい背景と、いい手触りがある作品がずっと好きで、それでいうとこの作品にはどれも範疇にはなく、何だったら嫌悪感すらあるようなジャンルではある。
仮にキャメロンクロウが、撮っていなければ見てもないだろうし、興味すらなかっただろう。
スポーツエージェントが、うだつのあがらない黒人のアメフトプレイヤーを大成させるという、それ以上でもそれ以下でもない作品である。
本来、このような予定調和の範疇にある作品は方向性がひとつに向かうものであるし、そこに至るまでのプロセスを視聴者は楽しむものである。
この作品には、結果までの道筋がいくつか存在し、それがしっかりと絡み付いていて、後腐れがない。
最後はまとめてカタルシスとして具現化してくれている。
とても人間が描けていて、社会のルールぎりぎりの範囲内だけで無茶なことを表現し、そこを寸前のところで触れていない。表面張力を超えないギリギリの主体性がリアルさを与えている。
この作品は、従来のヒューマンドラマであり、ベタな感動的作品である。
ただ人間どうしだからこそ感じることができる、表情だとか、感情だとか、温情だとか、激情だとか、叙情だとか、すべてを飽和していて
本来人間だけが、持てるパトスを存分に感じさせてくれた作品。
見終わったあとは心から嬉しい!とビックリマークを100個ぐらいつけて叫びだしたくなる、人間と書いてドラマと呼べる作品でした。
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