ティンク

ブルース・ブラザースのティンクのレビュー・感想・評価

ブルース・ブラザース(1980年製作の映画)
5.0
【過去作レビュー】
『日本では出来ない知的なコメディ』



高校時代、初めてこの作品を観たときに第一に思ったのが、あ~超楽しい。日本ではこんな映画は出来ないんだろうな~、でした。

30年近くたって、「テレビのバラエティー番組から生まれた人気ユニットの物語がまさかの映画化」という同じ出自の日本の作品の出来を観て、この感想は間違ってなかったと確信した次第です。(矢島〇〇〇)

鑑賞当時、元ネタであるサタデーナイトライブを観ることなどできるはずもなく、その超人気ぶりも全くわからなかったのですが、さすが映画小僧のジョン・ランディス監督、テレビ番組そのままでなく、ちゃんとした映画作品になってる。でも、さすがジョン・ランディス監督、ちゃんとした映画じゃない!

冒頭の空撮、まるでドキュメンタリー映画のような淡々とした渋いシーンから始まるにも関わらず、リアリティを無視した主人公たちの挙動、映画歴史に残る破壊台数のカーチェイスやショッピングモールの破壊シーン、明らかに映像がつながってないのに超楽しいミネソタナチの車の落下シーン、声を出しまくるSWATやありえないほど集結する軍隊、等々、映画ならではの嘘をつきまくってくれているシーンが絶妙です。
(キャリー・フィッシャーにバズーカで攻撃されてホテル崩壊してるのに、主人公たち全く平気って!)

でもでもそんなハチャメチャな作品なのにですよ、出てくる豪華なミュージシャン(ジェームス・ブラウン、アレサ・フランクリン、レイ・チャールズ、キャブ・キャロウェイ等)によるパフォーマンスや楽曲で、アメリカの音楽の歴史(ブルースから始まってゴスペルなんかを経て、ロックンロールの誕生まで)を映画を通して語ってくれてしまうって、どれだけ知的なんだろ。絶妙にカントリーも差し込むし。
(エンディングがロックンロールの誕生の瞬間! 監獄ロックを監獄で歌わせるってどんなに最高なの。たぶんダン・エイクロイドのおかげ)

そんなこんなで、私の生涯ベスト3に入ってます。
個人的に印象に残っているのは、キリスト教文化の世界では、どんな不良でもシスターには反抗できないんだなってことでした。

(矢島〇〇〇の冒頭は、隕石が落下するちゃちなCGでした。既視感あるなと思ったらブラックビスケッツのビデオそのまんまでした。たぶん、矢島の製作陣は90年代のセンスから全く進歩してなかったんだと思われます)

【追記】大林監督の時かけに受け継がれていくエンディングも大好きです。
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