千年女優

ミザリーの千年女優のレビュー・感想・評価

ミザリー(1990年製作の映画)
3.5
恋愛小説「ミザリー」シリーズで人気を博すも、それを良しとせずシリーズ最終巻の出版を待ちながら新作を執筆した小説家ポール・シェルドン。執筆時に利用するホテルからの帰り道に大吹雪で事故を起こして、「ミザリー」の熱狂的ファンの独身女性アニーに救助された彼が、徐々に露になる彼女の狂気に慄く様を描いたスリラー映画です。

執筆した小説が次々と実写化される人気作家スティーヴン・キングの小説を同様にキング原作の『スタンド・バイ・ミー』の映画化を成功させたロブ・ライナー監督で制作された1990年公開の作品で、本作で好きが余って凶行に走るキャシーを演じたキャシー・ベイツがゴールデングローブ賞とアカデミー賞の両方で主演女優賞を獲得しました。

キングの原作は「ホラーの帝王」らしくより残虐で、比べて本作は映画向けにマイルドになっているために恐怖感は薄めのブラック・コメディ寄りですが、ファンが作り上げた理想が独り歩きして本人を苦しめるプロットは本作以降にも様々な物語で流用されており、SNSによってファンと対象の距離が近づく昨今、より現実味のある恐怖です。
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