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ミザリーのILLminoruvskyのレビュー・感想・評価

ミザリー(1990年製作の映画)
4.2
原題『Misery』

監督 : ロブ・ライナー
脚本 : ウィリアム・ゴールドマン
撮影 : バリー・ソネンフェルド
編集 : ロバート・レイトン
音楽 : マーク・シャイマン
出演 : ジェームズ・カーン、キャシー・ベイツ、他

スティーヴン・キングの同名小説を原作とした、自動車事故に遭い、人里離れた山小屋に監禁されたベストセラー作家が遭遇する、熱狂的なファンの恐怖を描いたスリラー映画の傑作。

久しぶりに鑑賞したのですが、やはり、むちゃくちゃ面白い。

なんといっても、アニー役を演じたキャシー・ベイツの怪演。
優しくて献身的で、時に少女のようにはしゃぐアニーと癇癪を起こし激昂した時の理不尽で異常とも言える狂気を持ったアニーの二面性を絶妙なバランスと存在感で表現してアニーの怖さを見事に演じています。

ジェームズ・カーンの困り顔も最高。
"足潰しの刑"は観てるこっちも悲鳴出ました…

脚本もシンプルながら非常によく出来ていて、クライマックス、原稿を自分で燃やす事になった屈辱を新たに書き上げた原稿をアニーの目の前で燃やすことによって復讐し、かつ、ミザリーをしっかり葬ってやる作家のプライド、そして作家であるポールの生きる術であるタイプライターを文字通り武器にして闘い、豚の置物で倒すという皮肉も効いています。
さらに、マッチ、ペンギンの置き物等、小道具の使い方も秀逸。

撮影演出も上質で丁寧かつ、カメラワークがオーソドックスながら非常に巧みでめちゃくちゃ上手い。ロブ・ライナーの手腕が光ってます。

そして、最後にエンドロールで流れるLiberace 「I'll Be Seeing You 」。
ロマンティックな曲調と歌詞が本作を観た後だと全く別の意味を成して聴こえる。「映画」センスが良すぎ。

1990年の作品ですが、今観ても無類に面白い非常に良く出来た王道スリラーの大名作だと思います。
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