YukiSano

となりのトトロのYukiSanoのレビュー・感想・評価

となりのトトロ(1988年製作の映画)
5.0
怪物的名作。
小学生の頃から何回観たのか、いつ観ても衝撃の傑作。

子どもの頃は楽しく観てた。母と手を繋ぎ近くの文化ホールに観に行った思い出。最高に楽しい子ども映画だった。

高校生3年くらいになって久しぶりに観た時は、もう純粋な気持ちでは観れないと悟り、空を飛ぶところで切なくて少し泣いた。

そして2人の娘の父になって今回観た時の衝撃。途中からずっと号泣していた…

自分の人生の歴史が1本の映画に詰まっているような感覚。そして日本が戦後失った情景とそれでも失わなかったものが心に染み入った。

トトロが千年生きていて、もののけ姫の神々の生き残りとなるという裏設定も面白いし、宮崎駿がジブリユニバースで一環して描き続けた神殺しのテーマも今なら理解できる。

本当はサツキとメイは死んでるという都市伝説も、製作時に行方不明になった子どものことを想って製作されたから生まれた噂とも聞いた。宮崎駿自身は2人の大人になった時の姿をよく考えるらしい。

今回はそれらの情報全てが脳内を駆け巡り、メイが長女と似ていることもあって胸が張り裂けそうになった。

日本が数千年かけて失ってきたものへの祈り、そして全ての子ども達への願い、2人の娘への想いも重なって魂が揺さぶられるほどの感動が襲ってきた。

沢山の大傑作や超名作を観てきたが、これほどまでに、自分の人生や、自分が生きてきた国、そして自分が死んだ後にも地球で生きるであろう人々への愛おしい想いを持たらした作品はない。

幼少期でもなく、大人になってからウルトラベスト級になる作品と再会するなんて人生は何て面白くて素敵なんだろう。

宮崎駿という神に感謝します。
YukiSano

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