Machiko

太陽を盗んだ男のMachikoのレビュー・感想・評価

太陽を盗んだ男(1979年製作の映画)
5.0
和製タクシードライバーだった……(アメリカン・ニューシネマでしか世界を解釈できないオタク)。原子爆弾という最強の武器を手に警察を手玉にとるという、圧倒的に上の立場にいるにもかかわらず、ジュリーの拭いきれない強烈な閉塞感、どん詰まり感。彼の一連の行動には深い思想も理由もなくて(というか描かれなくて)、だからこそ我々観客は己の内の充たされないものを彼に仮託して気がついたら応援さえしてしまう。冒頭のバスジャック犯が明確に意図を持っていたのは、おそらく空虚なジュリーとの対比だろうな……。けだるげな表情に指向性のない暴力、指向性のない狂気を孕むジュリーも、相対する硬派な刑事を演じる菅原文太も、本当に唯一無二の存在感とオーラがあった、この時代の日本映画もっと観てみたい。
とりあえず、今度武道館行くから新聞紙におもちゃの拳銃隠し持って太陽を盗んだ男ごっこしたい(やめな〜〜)。
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