このレビューはネタバレを含みます
「名作!」との文脈で語られる事も多いし熱狂的なファンも多いらしい。
私の観るところ「沢田研二31才のプロモーション映画」と割り切って観たほうがいい。つまり主人公は死ぬことがない映画。
自身で原爆を製造した事で国家・警察は城戸誠(沢田研二)の頼み事をなんでも聞くことになる。しかしその要求は巨人戦を延長も全て放送しろだの、ローリング・ストーンズの来日公演を実現しろだのとしょぼい。実は原爆を作ったものの城戸には要求して叶えたい事が何もないのであった。
その挙げ句ラジオの人気DJのゼロこと沢井零子(池上季実子)に国家に要求したい事をリスナーから募ることを頼む有様。
監督の長谷川和彦はこれが監督2作品目で慣れていないのか、テンポも悪く、無駄に思える描写や場面がある。それにスペクタクル・パニック映画のはずがアンニュイな空気が漂う不思議な雰囲気の中で物語は進んでいく。
どうも沢田研二の魅力だけに頼って撮り切ろうとしている。
ややコメディタッチとも言える作品で、観ている側も落ち着かない。原爆を作る城戸誠の職業はなんと中学校教師であるし授業ではズバリ爆弾の作り方を教えている————と無茶苦茶。昭和1970年代の新宿や渋谷を観られることの資料的価値の方が高いように思える。
観ていく中で低予算であることも察せられるので、結局原爆が劇中で爆発することもないのだと気づく(爆発後のセットやら特殊効果などは金がかかるからね)でもオーラスでは爆発音が鳴り響くのでどうやら原発は爆発したようだ。
マツダが協賛なのかRX7とコスモAPのカーチェイスもある。
まあせっかちに観ないで、繰り返すが吉川晃司の「すかんぴんウォーク(1984)」やチェッカーズの「CHECKERS IN TAN TAN たぬき(1985)」のような「ソロタレント沢田研二のプロモ」だと思って観ると、案外楽しめるのかもしれない。当時大手事務所の売出し戦術で流行ってたんでしょうかね。