すごい映画体験でした。
クリストファーノーラン監督作品。
平凡な保険会社の調査員の主人公が、殺された妻の復讐を遂げていくという物語の体をとっている。
ストーリーを結末から描くという画期的構成にびっくり。
しかも、主人公レナードは、10分間しか記憶を保てなくなっている。
前向性健忘という記憶障害を患っているという特異な設定。
（前向性健忘という言葉をこの映画で初めて知りました）
記憶が10分しか持たないのに、どうやって調査を進めるのか。
大丈夫。
主人公は、記憶を失っている未来の自分に重要なことを伝えるため、メモやポラロイド写真に記録を残しているから。
最も重要なことは、刺青として肌に刻むというのが絵的にメチャクチャかっこいい。
主人公は、調査員としての自分のスキルを使って、復讐のため行動していく。
しかし、味方のように振る舞う人物でも、主人公の記憶障害を利用しているかもしれない。
協力者を装っているやつもいるから、油断できない。
主人公は、自分のように前向健忘性を患っている人物が、悲惨な末路を辿ったことを残した記録から承知していた。
ストーリーが逆行していくこと、また通常の時間の流れも挟まれることから、徐々に復讐の成り行きが分かってくる。
そして、時間軸の逆進（カラー）と順回転（モノクロ）が一点で交差した時、ついに観客は真相を知ることになる。
主人公は、自分が信じたいものを記録に残し、受け入れられない事実を無視していた。
主人公が、大げさに調査ごっこや復讐ごっこをやっていたと知って、観客はコケる。
実際悲劇は起きたけれど、主人公やりすぎ。
情報が多すぎて惑わされた。
これからも主人公は、マッチポンプのように事件を起こし続けけるだろう。
ジャジャン。
こけおどしかもしれないが、なんかすごい。
この作品以降、クリストファーノーラン作品は全て公開時に映画館で観てますよ〜
またやってくれたなぁと作品毎に思ってます。
この20年間期待を裏切られてません。
