このレビューはネタバレを含みます
最も好きな映画です。
時系列を逆にすることで前向性健忘を表現する斬新で大胆な演出が、復讐という血腥い物語をミステリアスに中和していると感じます。
序盤で淡々と過去に遡っていく流れに、ガイ・ピアースの静かなモノローグがマッチしているし、BGMはここぞというときにだけ流れて気分を高めてくれるので、難解なストーリーを考察する邪魔になることもない。
またストーリー中盤、記憶障害をもつレニーを周囲の人間がいいように利用している可能性が示唆されてから、あらゆるキャラクターが不気味で不穏な雰囲気をまといはじめるのもとても好きです。
初めて鑑賞したときのエンディングに入った瞬間、レニーがこれから歩む物語に思いを馳せ、どうしようもない後味の悪さと虚無感に包まれるのが何故かとても心地良かった。
あの感覚は忘れられません。