ARAN

メメントのARANのレビュー・感想・評価

メメント(2000年製作の映画)
5.0
この映画を何年ぶりに見ただろう。初めて見た時は意味わからなすぎてなんとなく凄いと思ってたけれどしっかりと考えると本当にとてつもないことしてるんだなと実感した。この映画を見てる人は主人公と同じように数分前の記憶を失くすわけでは無いから、時間軸通りに映像を流してしまうとこの映画の数分前の記憶を失くす主人公という重要なテーマを軸とした素晴らしい脚本を最大限に生かせなくなるために、映画内時間での数分ごとのシーンを逆から見せていくことによって、観客に主人公と同じ体験を簡易的にさせることに成功してる。物事の結果は分かっているがそれの原因となる事は分かってないような状態が繰り返される。これはまさしく数分前の記憶を失くす主人公の状態を擬似的にだが再現している画期的な構成。この構成がこの映画を難解にもしてるし同時に昇華させてもいる。だが言ってしまえば時間軸が逆なだけなので逆算的に考えていけば映画の全容は分かるようになっているはずだが、時間軸が正常なモノクロのシーンを入れることでより一層難解になってる。実際のエンディングは映画の冒頭のシーンだけど、モノクロシーンとカラーシーンが交差する(実際では物語の中盤)ところで主人公の真実を知らせ映画のエンディングに完璧にさせているところがお洒落すぎてかっこいい。物語の中盤を完璧にラストにしてるのこの映画くらいなんじゃないか。
記憶を忘れてしまうだけでなく、自らによって不都合な記憶を忘れさせていた哀しい男の物語。そしてまた彼は忘れていく。
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