キットカットガール

屋根裏部屋のマリアたちのキットカットガールのレビュー・感想・評価

屋根裏部屋のマリアたち(2010年製作の映画)
3.5
【ストーリー】
妻子持ちで他人には無頓着な資産家の中年男性が若く美しいスペイン人のメイドに恋をし、彼女をきっかけに上階に住むスペイン人のメイドグループに心を開き、生き甲斐を見出してゆく少し爽やかなフレンチコメディ。

いい意味で私の知っているフランス映画のイメージを払拭してくれた。狂気やエロス、強烈な色彩、そんな固定観念が消滅した。シュールなユーモアがたまらない。クスクス感が丁度いい塩梅だった。単調なストーリーで盛り上がりやどかーんと笑えるシーンがある訳じゃないけれど、素朴な面白さが詰まっていた。

とりわけ、主人公ジャン=ルイ・ジュベールはキャラが一際立っていて幾度も「えー!嘘でしょ笑」と持ってかれた。自己中な性格が変化していく話はいくつも観てきたけれど、これは中々チャーミング。途中からジャンがもう愛らしくて愛らしくて。後半1時間は清々しいほどメイドの一員となっていて、スペイン語や宗教観、文化など、純粋なほど影響を受けていて尊かった。

又、劇中に登場する料理の虜にもなった。スペイン料理の王様パエリアに特大のスパニッシュオムレツ。カラフルで家庭的なビジュアルがいい。しかしながら、私が1番気に入ってしまったのはジャンが毎朝食す3分半のゆで卵。「パンパンとゆで卵の頭をスプーンで割ってみたい!」そんな欲望が加速した。ゆで卵アレルギーだったのにもかかわらず、朝食前に鑑賞していたが故、朝食にはゆで卵をチョイス。それ故に本作は記憶に残る1作となった。