自家製の餅

大いなる決闘の自家製の餅のレビュー・感想・評価

大いなる決闘(1976年製作の映画)
3.0
古き良き西部劇という趣だが、1976年の製作で意外と新しい。当然、当時も懐古主義的につくっていたはずだが、トラディショナルな作風の西部劇においてあらゆるプロットが試された後だからか、過激かつ捻りの効いた展開となっている。

奴隷かと思いきや囚人が土木工事をさせられるシーンから映画は始まるが、いきなり狡猾な手段で脱走する悪役。字が読めないこと、先住民の血を引いていることが時折強調されるが、それを彼の残忍性に結びつけるような描写はいま観るとポリコレ的に厳しさがある。とにかく、囚人一行はほとんど最悪なのである。
彼らを捕獲しようと奮起する元保安官は娘を奪われるが、扱いがあまりにひどい。また、ふつうであれば助けるようなシーンでも保安官が助けられないなど、クリシェを回避しようとするあまりおかしな残酷さが出てしまう点で後味が悪い。とはいえ、単純ながらも頭脳戦で魅せるクライマックスは緩急あって引き込まれる。

古い映画ほど、どうやって撮影したかが気になることがある。馬が転んで落馬するシーンがあったが、馬はすぐ起き上がるし、女も立ち上がる。たんにスタントなのか。ここが最もリアリティがあって良かった。