スギノイチ

復讐 THE REVENGE 運命の訪問者のスギノイチのレビュー・感想・評価

3.5
適度に見所があってダレない、演出はキレキレ、敵役の六平直政の「ちょっと知恵のたりない凶悪犯」が激怖。
中盤の六平直政との撃ち合いが印象的だ。銃撃が脇を素通りしていく中、冷静に弾を込める仕草が格好良い。

主人公の家族が皆殺しにされるシーンや主人公の妻が拉致されるシーン等では、お得意の「見せない怖さ」が冴える。
しかも、ありがたい事に00年代の作品の様な抽象的で難解な要素は無く、「刑事モノ」という娯楽に収まっている。
これは北野武の『その男凶暴につき』やその原型の勝新版『顔役』を思い出す構造だ。
後半の展開なんかは『顔役』の姉妹作『桜の代紋』だ。シネフィルの黒沢清は当然踏まえてるだろう。
「説明しない演出」「想像させて恐怖を煽る」演出を使った変化型の刑事モノ。正統な結実だ。
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