このレビューはネタバレを含みます
2022.132 *219
めっちゃ面白かった、2時間超があっという間だった。
脚本が練りに練ってあることが分かる。
サスペンスの前作『野良犬』も良かったが、今作の方が特にカメラの臨場感がすげえ。
最後の面会のシーン、動機とかもう少しはっきり言葉で説明が欲しい…と、他の監督作品なら絶対思ってしまうところ。
それをこの映画では演技と映像とで観せきろうとした所を称賛したい。
最後には全財産を失った権藤だが、彼が「地獄」にいるようには観客には見えない。寧ろ新たな生きる道を見つけ、未来に溢れている。
対して、地獄から這い上がるのではなく他人を地獄へ落とそうとした誘拐犯は、果たして地獄から抜け出せないまま死刑囚となる。
「地獄には慣れている」と口では言うが、だからといって天国への憧れがなくなるはずもなかった。
天国か地獄かは、金の有無や住む場所で決まるのではない。
東宝&黒澤プロ
脚本 小国英雄、菊島隆三、久坂榮二郎、黒澤明
原作 エド・マクベイン「キングの身代金」
撮影 中井朝一、斎藤孝雄
音楽 佐藤勝