はんそく負け

天国と地獄のはんそく負けのレビュー・感想・評価

天国と地獄(1963年製作の映画)
4.4
前半は三船敏郎の、後半は仲代達矢のカッコよさがそれぞれ楽しめる映画でした。お話は面白い上にトントン進んでいき、長尺なのに飽きがきません。黒澤明の力を感じさせられます。

しかしそれ以上に黒澤明の力を見せつけられたのは、お話を決して邪魔せず、それでいてしっかり伝わるように皮肉を仕込んでくる点でした。例えば、ゴミだらけの川に写る男の影を追うシーンがありましたが、あれは本当にいい塩梅だと思います。セリフで言われるよりも、間違いなく説得力がありました。名監督はそういうところで決まるんだなぁ、と感動しました。