ななし

ロイドの要心無用のななしのレビュー・感想・評価

ロイドの要心無用(1923年製作の映画)
4.0
ロイドやキートンのサイレント映画を観ていてつねづね思うことだが、現代映画に慣れた我々をそれでも「ハラハラドキドキ」させてしまうのはほんとうに凄い。

むしろ、「どうせCGやろ?」とか「グリーンバックの茶番やろ?」と斜に構えるスキを与えず、演じる者の身体性がむき出しになるという意味で、部分部分、サイレント映画が勝っている局面すらある。こういう感覚は、ここのところはトム・クルーズ映画以外ではなかなか味わいづらい感覚だったりする。

ラストのビル壁登りくだりのスペクタルもさることながら、嘘をついてしまったばかりに、地元から出てきた恋人を前にデパートの管理職として振る舞わないといけなくなるコント的シチュエーションも大変楽しい。

ロイド作品は『ロイドのスピーディー』、『ロイドの初恋』と鑑賞してきたが、本作がいちばん好きだ。さすが、代表作の名は伊達ではない。
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