日本映画史に残る傑作‼︎
ある事件をキッカケに「生きる意味」を見出せなくなった2人の幼い兄妹と中年運転手が数年後に偶然、出会い生きる意味を見出していくロードムービー。
言葉にすれば「喪失感からの再生」と簡単に言えるが、それを3時間27分掛けて言葉を極力減らして映像で表現していく。
我々、観客も同じ時間、彼等と旅をし人が再生する事の意味、そして人と人が結び付き信頼する事を改めて捉え直す。
事件当事者の3人は「言葉」を失う。
対して、旅を共にする兄妹の従兄弟である青年は「言葉」を持って、的確に説明する。
しかし、それは事柄を適切に説明するだけで本質でも真実でも無い。
3人は、忘れたかった事件現場から再び「生きる意味」を求めて旅を始める。
そしてラスト近く妹が言葉を発する。
それまでのセピア色の画調がカラーに変わる。
死の世界から生の世界に生還した様に。
果たして3人はスタートラインに立てたのか?
例え立てたとしてもイバラの道が続く事は明らかだし、兄は重い十字架を背負って行く。
映画の中で役所公司が言う「ばってん死なんでくれ‼︎」と願うばかりである。
ほんの一瞬でも夕暮れの空を見上げたり、季節の風を感じたり、土の感触を感じて踏みしめたり、水の流れる音に耳を傾けたり、それだけでイイ。
それは我々にも問われている。
そして、そう考えさせ、そう言う気持ちにさせてくれる。
この映画を作った故青山真治監督に賞賛の声を送りたい。
生きてる内に見る事が出来てホンマに良かった。