EUREKA ユリイカの作品情報・感想・評価

「EUREKA ユリイカ」に投稿された感想・評価

仁

仁の感想・評価

4.5
映画らしい、悪く言えばわざとらしい演出は排して、徹底して抑えたトーンのリアルな生活感が続く。セリフも少なめ。だからこそ終盤での役所広司の言葉はすごく刺さる。

3時間半という長さは決して冗長ではなく、セピアカラーで見せる田舎の空気が心地良くてむしろずっと映画が終わってほしくなかったくらい。重たい話なのに心地良さを感じるというのは矛盾している気もするけど、とにかく居心地が良かった。

テーマがテーマだけに、もう一度観たいタイプの映画ではないかもしれない。でも絶対に忘れないものがある作品でした。
osaka

osakaの感想・評価

4.6
役所広司ベストアクトは黒沢清だとばかり思ってたけど、越えてきた。
3時間半ってちょっと長過ぎだとは思うが、結局人々の心は全然再生されないのだから長いことにも意味はあったのかな。

青山真治はどうしてこう綱渡りのようなセリフが書けるのだろうか。一般の映画なら役所が斉藤陽一郎に檄飛ばすシーンで役所のキメで終わるであろう所を、青山真治は斉藤陽一郎でこのシーンを締める。これが良いんだよ。表面的には北九州弁が何よりも良い。

あとユリイカはめちゃくちゃ時間かけて脚本を書いたそうで、その脚本執筆の期間の長さがこんなにも感じられる映画も珍しいな、とニヤニヤしてしまった。どこまでも愚直な人だなあ。ほんと3年分を見てしまった感覚。シーンとシーンの劇中時間が結構すっ飛ばされたりしているけど、些細なセリフでその間の時間がすっと埋まる瞬間の快楽は他に替えがたい。
桂木

桂木の感想・評価

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映画館で上映してほしい
兄に運転教えるシーン、めちゃくちゃよい
mare

mareの感想・評価

4.5
青山真治の3時間40分にも及ぶ大作にして北九州サーガの2作目。バスジャック事件をきっかけに大きく運命が変わってしまった1人の男と2人の子どもが再生に向かう物語。時間が止まってしまった彼らは意味のないことに意味を見出すことが最大の救済であると信じ現実的ではない数々の選択をする。と同時に現実と思いたくない現実がこれまで見えていた世界に蓋をしてしまい、そんな世界への決別の如くまだ見ぬ希望へ新天地へと舵を切る。あったはずの日常が壊れていく人間ドラマから穴が空いていなかったはずの心を取り戻すロードムービーへと様相を変えていく展開は驚異的で感動的だ。終始クロマティックB&Wと呼ばれる特殊な撮影方法で色味を感じる独特な白黒表現を使い、色づくことのないどこか虚ろな世界を作り上げていて芸術すら覚える。そして音楽好きにも展開的にもたまらないタイトル通りジムオルークのEurekaが流れるシーンは圧倒的カタルシスを生む。
anya

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3.5
長い。ある事件に巻き込まれた被害者たちのその後の置かれる状況と心の動き。もっと難解なのかと思ってたけど淡々としてた。宮﨑兄妹の空気感がやっぱすごい。
鮪

鮪の感想・評価

3.0
宮崎あおいかわいい。
最後のすれ違い後はどうなる事やらソワソワ。
驚愕の作品だった!!
バスハイジャックに巻き込まれ、心に深い傷を負った直樹と妹の梢。
モノクロフィルムに映し出される静寂な世界は、まるで希望を失い色彩を失った彼らを象徴しているかのよう。
当時運転手だった沢井と共に再生への旅へと出る直樹と梢。
言葉を失った2人の有様が、ことの重大さを物語っていた。

モノクロに引き込まれ、218分という長編だが時間が早く感じた。
非常に含蓄のある世界観を醸し出す作品だった。
犬

犬の感想・評価

4.0
芝居と撮影(切り返しやロングショットは邦画の域を優に超えている)は言わずもがな、言葉を交わさないからこそ生まれる卓越された演出によって終始釘付けとなる217分。兄(宮崎将)に運転を教える、就寝、自首する前夜など、他にも細かいシーンを言えばキリが無いほどだが、シンプルに三人が食卓でご飯食べながら無言で遣り取りするシーンが演出として理想的でしかない。
『害虫』でもそうだったけどこの頃の宮崎あおいはマジで無双状態。
槙

槙の感想・評価

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順番前後してしまったが青山真治北九州サーガ3部作完走。217分あっという間。

実際の初出は「Helpless」(96年)→「ユリイカ」(00年)、同年小説「ユリイカ」→小説「Helpless」(03年)→小説「サッド・ヴァケーション」(06年)→「サッド・ヴァケーション」(07年)だけど、
わたしは「Helpless」→「サッド・ヴァケーション」→小説「Helpless」→「ユリイカ」の順で鑑賞。

バスジャックに遭い、たまたま生き残った運転手・澤井(役所広司)と幼い兄妹(宮崎将、宮崎あおい)。2年後に偶然再会し一緒に暮らし始める。澤井は通り魔事件の犯人と疑われたりなんとなく現状打破したいみたいな気持ちがあり、兄妹の様子を見に来たいとこ秋彦(斉藤陽一郎)も連れて4人でバスで旅に出る。
最近見た「れいこいるか」もそうだけど、自然災害だとか偶然に巻き込まれた事件事故で負った心の傷を人はどう乗り越えるか。個人的な人間関係の機微みたいなものを描く物語も面白いけれど、「社会」で生きる人間の本質、みたいなものを考えるとき、やっぱり強いのは前者だなと。

北九州サーガ3部作における秋彦の存在。秋彦、「青い春」でいうところの青木みたいな。心に暗い部分を持っていて、健次やいとこの兄妹みたいな繊細な心をもって動く人が身近にいながら、超軽薄。だけど、根はいい奴で憎めないんだよな。3作すべて青山真治によって物語の中に加えられるにも関わらず毎回中途半端なところで放り出されてしまう感じ。小説の「Helpless」は秋彦視点で語られる部分が多くてびっくりしたんだけど、ひとつの物語を映像にするときの秋彦の扱いと小説にするときの扱いの違いが非常に興味深い。

「Helpless」は権力と構造の話、「ユリイカ」は家族の話なんだけど血のにおいが全然しなくて、「サッド・ヴァケーション」は母と血と家族の話って印象があった。同じ家族でも「ユリイカ」は運命、「サッド〜」は宿命を思った。青山真治は秋彦にどうやって結末を与えるのかが気になるから小説も全部読まなければ。

ラスト、宮崎あおいのアップから自然の風景を臨み、画面が色彩を帯びる。そして、タイトルが出てきた瞬間、自分でもまったく訳の分からない涙がダバーって出てきた。
最初から最後まで田村正毅のカメラワークがとても良い。シネマスコープだからこそ。
真の職場の同僚女性が髪を解いて足の裏を手で払うシーンにはドキッとした。
言葉にせずとも、ノックで見える3人の繋がり。
宮崎あおいの正面からのクロースアップにいちいち引き込まれた。
俯瞰の長回しも美しい。

バスの横に入っているライン、青色だったんだ。
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