EUREKA ユリイカの作品情報・感想・評価

「EUREKA ユリイカ」に投稿された感想・評価

壁を弱くノックする音。切々と響く空虚な音。
北九州サーガ第2作。過去のバスジャック事件の生存者である兄妹、元運転手の静かな交流。過去のトラウマからの癒しと再生。
主役3人の視線がずっと過去しか捉えていないようなツラが最高。
色彩のない田村正毅のカメラアイがそれを支えている

役所広司が兄妹のもとを尋ね、二人のことを支えようとするのだけれど、その実むしろ支えられていたのは役所広司のほうだった……という逆転のプロット。
宮崎あおいが奇跡的に薄倖な美しさで、彼女が役所広司の頭を撫でるシーンは『ミツバチのささやき』のアナ・トレントに肉薄していると思う
事件の生存者でありながらも共犯的な意識に苛まれているような、共依存的な関係がいい。
その場にもう一人、事件とは直接関係のない秋彦というキャラクターが闖入することで関係性が心地よく乱され、整えられてゆくさまが救い。こいつの台詞はちょっと説明的すぎるけど

虚無の瞳だった宮崎あおいが次第に感情を露わにしていく過程でなぜか涙があふれた……

「生きろとは言わん。ばってん、死なんでくれ」

なお、この兄妹を演じたのは宮崎将&宮崎あおいのリアル兄妹。マジか。この二人が共演している作品は他にもいくつかあるらしく、観なければならない

北九州から阿蘇への風景がまさに巡礼の旅で、ちょっと長すぎてダレるところもあるんですが、ラストでの宮崎あおいの遊びのような神性に至るところで完全に納得した
突発的に旅に出る映画は最高、というジンクスありますよね?
kos

kosの感想・評価

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他人の苦労や悩みに同情した時つい「分かるよ」と言ってしまうけど、そんな簡単に吐いて良い台詞では無いなと改めて自戒の念に駆られた。
わたしの1番
畳をドンドンするのも、ナイフを手にするのも、壁を叩くのも。心が繋がろうとシグナルを送ってるんだ。見逃さない大人でいたい。待てる大人でいたい。
大野

大野の感想・評価

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色を剥奪したのに信号機初っ端から映す凄さ
痕跡としてまざまざと見せられる暴力。物語内では痕跡が残っているが、物語外には痕跡を残さない。
ワイドスクリーンが効果的。
ノックのシーンの空間の使い方が好き。
他者の傷を背負う子どもたち。(ゲロ)
shuuhey

shuuheyの感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます

役所広司、光石研、松重豊、、九州出身の純度の高い博多弁だけで長尺観れる。最大限まで排除したいんだろうけどもっと雑談欲しかった。ショットと照明が全てを語ってるしある程度エンタメしてるから良いんだけど素直に方言を聞いてたかった。
歩くときの距離、寝る順番、起きる順番、今誰が起きてて誰が寝てるか、、これだけで見せきる関係性と人格。うますぎる。台詞の大きさがバラバラだったので気を遣って欲しい、基本聞こえない。
Guy

Guyの感想・評価

3.7
ツクツク法師が散々と空気を震わせる夏の日。
バス停にて母親に手を振る14歳の少女とB5サイズ単行本AKIRA5巻を読む兄。
次の停留所で降りる予定だった通学中の2人はバスのボタンを押すが静寂を切り裂くのは銃声だった。
白昼に起こる理不尽な悲劇。
生き残ったのは兄妹とバスの運転手3人。

目的地の無い旅。
深く心に傷の負った彼らの今にも切れてしまいそうな関係。
夜、風に揺られる木々の隙間から月光が溢れ絶え間無く虫は鳴き続ける。
固く閉ざしていた2人の心が徐々に緩んでいく様をたっぷりと時間をかけて映す様はゆったりとしていて心地が良い。
セピア色のフィルムに閉じ込められた記憶。
2年前に置き去りにした感情。
埋めることのできない空白。
大津波が来る。いつかきっとみんな居なくなる。

役所広司の泣かせる熱演とまだ幼げな宮崎兄弟。そして説明を極力排除した青山真治監督の美学に拍手喝采を贈りたい。
最高のロードムービーにして最高のヒューマンドラマ。
とても贅沢な220分。ずっと終わって欲しくなかった。
まろん

まろんの感想・評価

3.8

セピアの静かな作品っていう表現がピッタリなのだが………

バスの運転手…乗客の子供の兄妹………突然始まるバスジャックという事件………
事件が起点になり始まる物語………
思ってた以上に………長い……邦画であるの?この長さ………

人間関係と心情描写
ポツリと出てくる事件は映画を飽きさせないで物語を進める

宮崎まさる………宮崎あおい………役だけじゃなく本当に兄妹!
衝撃的!
そして役所広司は…この時からすでに役所広司!

喪失と再生って………セピアからカラーになったら再生って事なの?………そんな安易じゃないだろうって思うけど……人の内面的な部分は長い時間をかけてよく描写されている…とても静か過ぎな映画
今までハッピーエンドの流行ってるしかほとんど見てこなかったから驚いたけど、この映画を機に考えさせられる映画があることを知って、必ずしもハッピーエンドがいいわけではないと知った。

小学6年生の時に初めて観たからまた観たい!

最初DVD借りた時は長いなと思ったけど観てたらあっという間に終わった。
その時は初めての白黒映画で初めえっ!と思ったけど異世界を作っていて逆に現実に本当にみんな登場人物がいてこの出来事が起こってそうと思った。

私の中の映画ランキングでも片手に入るかも
is

isの感想・評価

4.5
静かな静かな映画
全編ほとんどがモノクロで映されるせいだとか、心の裡を口にする登場人物がいないせいとか、視覚/聴覚による静けさ以上に、静かな作品

「境界を超える」ことが全く猟奇的でなく、ただ静かに箍が外れてしまっただけ
直樹のこころがほんとうに壊れたのは、バスジャックの瞬間ではないんだろうね(梢と沢井さんもそうかもしれない)

梢はきっとすべてをゆるしている
最後に呼んだなまえたちは、彼女には必要なピースだったんだろう
「大津波がくる」という台詞からはじまる冒頭は圧巻

秋彦、「Helpless」で彼が遭遇したショックを鑑みると、まっとうな若者なんだけど、この作品ではとても異物になる
彼にはきっとそれは「世界の外」だから

長尺だし、情報量も決してすくなくないけど、おんなじトーンが貫かれていてわたしは飽きなかった

このレビューはネタバレを含みます

 バスジャック事件の被害者が同居し始めて、再出発するために旅を始める話。

 惨劇であるバスジャック事件を体験した人たちの心象風景を映像にしたセピア色の映像は不思議な心地よさで1つ1つのシーンが長いですが、見入ってしまう魅力がありました。
 心に傷を負った人たち。その人たちにどう接していいのかわからない家族や興味本位で接する人たち。というのを長い長いシーンで見せていって、何かを見つけるために旅に出るというロードムービー。前半がやや劇的すぎて個人的には前半と後半のタッチが違いすぎて、ついていけない部分がありました。

 3部作の2部作目なので、兄妹のいとこの話していることとかがもっとわかって3部作全体で見るともっとわかる映画だと思いました。
 リアリティの面を考えると、赤の他人のおじさんである主人公を小さな兄妹と同居許されるのかな? とか人を殺すことを結構簡単に許しちゃったりといかがなものか? と思ってしまう部分もありました。犯人を出頭させてすぐに旅を続けられるものなのか? 警察とかマスコミは出てこないのかな? とか思ってしまいました。が、3時間以上でも惹きつけられる映画でした。
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