せいけ

EUREKA ユリイカのせいけのレビュー・感想・評価

EUREKA ユリイカ(2000年製作の映画)
4.5
青山真治の代表作。
バスジャック事件で生き残った人たちの再生ドラマ。
217分という長尺だが、格調高い画作りと、役者たちから滲み出るささやかなる生命力に魅せられた。
この人たちのドラマを描くのにこれだけの時間が必要だと感じさせてくれる。
先に知っていたあの名セリフが吐き出された瞬間はやはりグッとくるものがあった。
これまでのどの役所広司とも違う唯一無二の存在感。
セリフはほとんどなくとも当然とそこにいられる宮崎あおいも凄い。
説教臭い展開やセリフでなく、繊細な演出で映画としての感動をもたらしていた。
北九州のロケーションも抜群に活かされていた。
閉鎖的な空気と開放感が程よく同居しているような感覚。
ロングショットの長回しやテロップのフォント使いは往年の日本映画を見ているよう。
セピア調のモノクロ映像をあしらえた画面も隅々まで美しかった。