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EUREKA ユリイカのYKのレビュー・感想・評価

EUREKA ユリイカ(2000年製作の映画)
4.5
この映画には、どこかファンタジックな部分がある。モノクロ(セピア調)の映像が独特の雰囲気を生んでいるが、それだけではないように思う。ロケ地は福岡県。登場人物は皆バリバリの博多弁を話し、劇中でも具体的な地名こそ出てくるが、どこか有名な場所が登場するというわけではない。兄妹が暮らす馬鹿でかい屋敷のように、物語はよくわからない場所で展開される。その上、劇中での殺人事件の扱いや、兄妹の育児放棄に関しても「社会や行政はどうなってるんだ!」と突っ込みたくなるかもしれない。が、この映画はそこが主題ではないのだ。あえてリアルを外し、その積み重ねがファンタジックな印象を与えている。思えば冒頭の「バス止まります」ボタンの音でさえ、現実と違うような気がしてきたり・・・。3時間37分にも渡る長尺の作品。大きな起伏があるわけではないが、まったく飽きずに観ることができた(むしろ永遠に観られるかもと思った)。
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