昔ながらのアニメを感じさせる絵にしっかりと、はっきりとしたテーマを軸に進んでいく。王道なストーリーながらにもしっかりとした落としどころがあり、ラストには素直な感動が押し寄せる。
1999年のアニメ映画ということもあり、今のアニメの技術に慣れている人にとってはちょっと古いので敬遠されそうだが、内容は全く遜色ない。アイアンジャイアントの普段光っている目が赤く変わるシーンのドキドキ感や、ジャイアントの戦闘シーンでのいろいろな武器を駆使した戦い方の見せ方など、上手いなぁと感じさせるシーンが所々にあった。
登場人物、設定もうまい。舞台は1957年という米ソ冷戦の時代であり、ソ連の人類初の人工衛星スプートニクが正に打ち上げられた年。捜査官のケントはスプートニクが世界中を監視していると思い込み、空からくるものはすべてソ連の兵器だと勘違いするような人間。少年ホーガースとアイアンジャイアントをはじめとして、ホーガースの母、そしてスクラップ場のオーナー、ディーンの存在。彼はスクラップでアートを作る変人だが、「なりたい自分になればいい」というようなハッとさせるセリフも言ってくれる。
最近では『ベイマックス』で少年とロボットの関係について感動させられたが、この作品は『ベイマックス』とは違った少年とロボットの関係性で、どちらもいい作品だ。
内容的にも子供から大人まで楽しめる作品となっているのは間違いない。