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マトリックス レボリューションズのonotoramanのレビュー・感想・評価

3.5
マトリックスってなんだったっけ?あまりに機械との戦争がメインすぎてよくわからなくなってきた。

一作目のマトリックスっていう映画を構成する大きな要素は主に3つで、ひとつは当然あの「仮想現実世界」。仮想現実を描く作品は数多くあれど、エージェントっていうセキュリティプログラムとか銃やカンフーを自在に扱えるっていうオリジナリティは唯一無二だった。
ふたつめは今いるのは実はプログラムの中だったっていう「世界の真実」。しかも人間は機械の電池として生かされてるっていうオマケつき。この驚きが一作目の大きな牽引力になっていたし、同時にそれを新たにつくるのが困難なのが続編の難しさでもあった。
でも、多くの続編映画がつくられるのは何よりそこに魅力的な登場人物がいるから。それがみっつめの「キャラクター」。マトリックスのキャラクターは本当に良くできてる。主人公は救世主で最強。シュワちゃんとかのアクションヒーローに比べるとなんか軟弱そうなんだけど、覚醒すると人類の唯一の希望ってもうおいしすぎる。ヒロインのトリニティもいい。ヒロインポイントは低いけど、こんなかっこいい女性に出会える映画はなかなかない。そして師であり長であり導き手であるモーフィアス。ネオは作中で結構迷うんだけど、モーフィアスは迷わない。かっこいい。そんな奴が主人公のことを信じて疑わないんだから、なんともうれしい。あと何より重要なのが敵、スミス。ビジュアルもキャッチーだし、めちゃくちゃ強いし、プログラムなのにいやに人間臭さがあるなんとも魅力的な敵だった。この4人がマトリックスであり、この4人に主要な役割(主人公、ヒロイン、導き手、敵)を絞れて描けているのがすごい。

じゃあ続編ってなったときに何が描けるかっていったら、「世界の真実」はもう見せようがないから、「仮想現実世界」と「キャラクター」を見せることがマトリックスたる所以になる。リローデットでは鍵の存在やエージェントの増殖で仮想現実に拡がりを持たせることに成功していたし、4人もそれぞれ活躍していたから、構成や難解さはあれどかなりマトリックスとして楽しむことができた。
しかしレボリューションはキャラクターはあれど、そんなに仮想現実で活躍せず、むしろ現実世界で戦ってばかり。その戦い自体は見ごたえがあるし、構成もわかりやすくしっかり盛り上がる。けどマトリックスを見た感じがしない。あの鉄の街や歩行兵器がマトリックスの仮想現実世界と地続きに思えない。

さらに、作品の要点もちょっとずれてる。三作目の命題は二作目で明かされた世界のループからいかに抜け出すかってことではなかったのか?最終的にそのループすら脅かす第三の驚異、スミスを倒すことが目的となるわけだが、そうだとしたらやっぱり現実世界の防衛戦ってそんなに尺いらなくないか?スミスが機械も人間も滅ぼす驚異だってことはそんなに描かれてないし。そこもなんとも煮え切らない。

しかし、ここまで言っておきながら続編二作はおおかた満足。それはやっぱり大好きなキャラクターの活躍だけはどちらもしっかり見れたから。レボリューションの締めはきっちりネオとスミスの肉弾戦だったし。続き物で一番大事なのはやっぱりキャラクターなんだなあ。

望みを言えば、ブレードランナー2049がやったみたいな「今」のテーマを落とし込んだマトリックスを見てみたい。仮想現実への依存、とかね。
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