ブラックユーモアホフマン

RENT/レントのブラックユーモアホフマンのレビュー・感想・評価

RENT/レント(2005年製作の映画)
3.6
曲数多すぎだろw
ちゃんと舞台で見たらそりゃ良いんだろうけど、映画にするにはちょっと無理がある。

『tick, tick…BOOM!』をこれから観る予習として今更ながら鑑賞。そうかクリス・コロンバスが監督してたのか。そして脚本はスティーヴン・チョボスキー。
この、絶対に当事者じゃない布陣で作ってる感じがさすがに2005年のアメリカ映画の限界だなと思う。だからこそ今、リン=マニュエル・ミランダが作ったってことだ。

本作も確実に『ウエスト・サイド・ストーリー』後のミュージカル。実際ソンドハイムの名前も歌詞に出てきたし。(調べたところジョナサン・ラーソンがソンドハイムの学生だったと。)

そしてこちらもまた名前が出てきたスパイク・リーと同時代の作品。どちらも『ウエスト〜』の影響はあると思う。そしてこの界隈に対してスパイク・リーが当時からいかに愛されていたかよく分かった。

ニューヨークの貧困街の話。RENTって家賃のことか。住居問題を扱った映画って本当に多いなあ。『ウエスト〜』もそう(特に今回のスピルバーグ版ではそこが強調されていた)、エドワード・ノートンの『マザーレス・ブルックリン』もそう、バリー・ジェンキンスの『ビール・ストリートの恋人たち』もそう、そしてまた同じく『ウエスト〜』フォロワーの『イン・ザ・ハイツ』もそう。ニューヨーク、アメリカに限らなければもっとある。

そしてドラッグとHIVの問題が中心。これはラリー・クラーク監督の1996年の映画『KIDS/キッズ』を思い出した。そして両者に共通するキャストがロザリオ・ドーソン。
歌うイメージなかったけど歌声とても良かった。スパイク・リーの『25時』にも出てるのか、まだ観れてない。最近見た「デアデビル」にも出てたけど、あれもニューヨークの貧困街の話で、住居問題の話でもあった。この辺のフィルモグラフィを踏まえたキャスティングだったんだろうか。

あと知ってるキャストと言えばイディナ・メンゼル。この頃から歌姫。
あとサラ・シルヴァーマンが一瞬出てきて、この前に観た『ドント・ルック・アップ』にも一瞬だけ出てた気がしたんだけど、どちらも本当に一瞬すぎてどんな役だったか忘れてしまった。
あとケリー・ライカートの『オールド・ジョイ』の主演の人、ダニエル・ロンドンも少し出てた。

曲調がオルタナティヴロック的なのが多くて、あんまりミュージカルでこういう曲調聞かないから新鮮だった。特にロジャー関連の曲。ロジャーは歌い方や髪型も含めてジョン・ボン・ジョビみたいでちょっと笑ってしまった。

時代もあるのかもしれないけど音楽も演出も撮影も編集も全部絶妙にダサくて勿体なかった。演劇作品の映画化って難しいなと感じ、改めて今回のスピルバーグの映画的再解釈の上手さには驚くべきだと気づいた。

特に後半の展開が超絶すぎて完全に置いてけぼりになった。モーリーンとジョアンヌが結婚する辺りから。てっきりそういう妄想のシーンだと思ったらマジなんかい。だって当時、同性婚って?お互いの両親もめちゃくちゃすんなり受け入れてるし?そりゃ良いことだけど本当?と思ったら急に歌の途中でエンジェル死んじゃうし。前フリが何もない!詰め込みすぎ!ついていけないって!!

【一番好きなシーン】
酒場での打ち上げシーン。「戦争の反対は平和じゃなく創造だ」って歌詞。まさにその通りだ。