ヒムロ

ミストのヒムロのレビュー・感想・評価

ミスト(2007年製作の映画)
5.0
激しい嵐が街を襲い家が倒木によって壊れたデヴィッドは息子を連れて隣人のノートンと共に近所のスーパーへ買い出しに行く。
すると突如、町中を濃霧が包むと血を浴びた男がスーパーへと駆け込んでくる。
「霧の中に何かがいる」
霧の中の怪物達と怯えて徐々に崩れていく人々、ガラス張りの店内は外と中から同時に壊れていく…。


久しぶりに見直したのでレビュー作り直し。

まずハズレのないスティーブンキング原作映画の中でも傑作の一本。
元々長くない小説をベースにしてるだけあって無駄なシーンがなく2時間の大作ながら完成され尽くした2時間。

突如現れた異界のモンスターに襲われるモンスターパニックホラーの側面だけではなく、こういう映画にありがちな人間同士のドラマも非常にクオリティが高い。
現実主義すぎて怪物を信じない者、自己中心的で横暴な者。
特に終末思想を振り撒くおばさんが段々と支持を集めてカルト化していくのは新興宗教の成り立ちを見ているようで恐ろしい。
どいつもこいつも口を開けば人を不快にさせることしか言わない奴らがよくもこう集まったなと感心する。

コミュニティにおいて宗教や攻撃的な人間を排除しないと碌なことにならないのがよく分かる教訓映画にすら思える。

怪物映画として見ると圧倒的にビジュアルが最高なのだが、いかんせん霧でほとんど見えないのが残念。
それが恐怖を煽るので仕方ないが。
全景はググればコンセプトアートなどが出てくるのでそこで楽しもう。
僕のお気に入りはGray Widower(蜘蛛型怪物)。
この手の蜘蛛にありがちな人間に卵を産みつけるという要素だけではなく、強酸か何か腐食性の糸が凶悪で最高。

そしてなんといっても原作者も「執筆時に思いついていたらこっちにしたかった」と言ったという集逸なオチの改変。
これほど救いのないオチは珍しくこの手の話が好きな僕にはたまらない。
あまりにも後味の悪い映画として有名だが、そうと思って見ても最高最悪のレベルの秀逸さなので見てない人は是非見て欲しい。

ストーリーもさることながら、吹き替えのセリフがかなり名言が多くて名翻訳に名演技が乗っかって最高の映画。
ヒムロ

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