アラシサン弐

ミストのアラシサン弐のレビュー・感想・評価

ミスト(2007年製作の映画)
4.0
他コミュニティを侵害してまで自分たちを正当化しようとする集団心理への回答と警鐘を提示するラスト。

極限状態で集団錯乱が起きる要因って、単なる恐怖や不寛容さとか価値観の違いによる分断だけでなく、麻痺した承認欲求も含まれるのかなと思った。

あの宗教おばさん、コロナパンデミック時に湧いてた、何か信じられない事態に直面してるときに、デマやら陰謀論やら「信じたくなるもの」を振りかざして拡散し、火事場泥棒的にいいねを稼ぐ人達を思い出す。

裏切りとか女性問題とかパニック物あるあるの対立ではなくて、脱出したい現状打開派VS神を信じることで安心していたい安定派の対立になっていくのが、人間社会が集団である限り絶対に争い続けることの象徴のように見えてくる。

またこれラストに生き残ってた事が判明するとある人物の存在が、集団でしか行動できない人達への強烈な皮肉に思えるのは自分だけだろうか。

クリーチャーのチープさを補うかのように、霧っていう暗闇とは違う独特の不気味さを持つ状態を活かした変わった画で圧迫感を出してるのが良かった。ロープ巻いて歩かせるとことか誰でもどうなるか想像つくのに怖い。
アラシサン弐

アラシサン弐