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ミストのnaoズfirmのレビュー・感想・評価

ミスト(2007年製作の映画)
3.2

モンスターより人間の方が怖いと思った作品🎬

ストーリーは平和な田舎町を舞台に未知の怪物に襲われる人間の恐怖と極限状態にある人間の心理を描いた作品でした。物語をどう終わらせるか、結末次第で作品の印象はがらりと変わると感じた作品でした。ハッピーエンドにせよバッドエンドにせよ、結末が優れていれば、駄作が凡作へ、凡作が佳作へ変わるとつくづく思いましたね。

ストーリーは街が霧に包まれ「さあこれから何が起こるのか」と期待が高まるも、蓋を開けれてみれば、どこかで見たようなモンスターが出てきて思いっきり肩透かしを食らわされました。スーパーマーケットに籠城している人たちが争い始める展開も新鮮さを感じませんでした。特にインチキババアのカーモディが撃ち殺されるくだりは最高でした!!出た瞬間から分かるウザい雰囲気、言動、思い出すだけで腹立つレベルです。カーモディはモンスターではなく人によって銃殺されました。そして、オリーが2発撃ちこんだのは意図があるとも考えられました。1発目で観客の喜びを最高潮に上げ、2発目で観客を我に返らせて自分の攻撃性に気がつかせる意図を感じました。たしかにスカッとした反面、死刑を歓迎した自分の心情にはドキッとしました。

※結末に触れます

『ミスト』が迎える結末は、主人公のデヴィッドとその息子ビリーが、スーパーマーケットに居合わせた他の3人と共に店を車で逃げ出すものの、ガス欠になるまで走っても霧の外には出られず、生存を諦めて銃で心中するというものでした。
銃弾が4発しかなかったので、最後に残ったデヴィッドは車の外に出てモンスターに殺されようとしたそのとき、霧は嘘のように晴れていき、軍の救助隊が現れました。生存者4人を、しかも息子を射殺してしまったデヴィッドが打ちひしがれる姿で物語は幕を閉じます。無情というか非情というか、やるせない感情になります。ミセス・カーモディの呪縛、モンスターには殺されたくないという息子の願い、妻の死、人知を超えた巨大なモンスター。結末に至る筋道はあったものの、「子殺し」という究極の選択を下すまでとは思えませんでした。
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