いしだあゆみをマドンナに迎えたシリーズ29作目。
若い頃に観たときは『なんでデートに満男を連れて行くんだよ』と、寅さんの歯痒さが嫌で、あまり好きではなかったが、歳を重ねて何故か想い出に残る好きな作品となった。
『片岡仁左衛門』の口調も表情も良かったが、なによりも良かったのが『いしだあゆみ』の存在感だ。どこか儚く哀愁もあり、とても切ない顔もみせる。そこに満男の吉岡くんが、ぼそっと言葉を合わせて涙を誘う。とらやへ帰宅後の吉岡くんの言葉も良い。
しんみりしたあと、ラストの片岡仁左衛門とのやり取りが、からっと寂しさを吹き飛ばす。とても上手くできている。
寅さんシリーズの中でも特に好きな映画。