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その街のこども 劇場版のodyssのレビュー・感想・評価

その街のこども 劇場版(2010年製作の映画)
3.3
【サトエリに惚れ直した】

(以下のレビューは、2011年2月25日に某映画サイトに投稿したものです。某サイトは現在は消滅していますので、ここでしか読めません。そして、言うまでもないことですが、このレビューを投稿してから半月後の2011年3月11日に東日本大震災が起こりました。もちろん偶然のことではありますが、そうした時間の経過を考慮のうえ、お読み下さい。)

大震災の悲惨さを描いた映画ではありません。
子供の頃に震災を体験した若い男女が15周年の記念行事の日に神戸で偶然出会い、街を彷徨するという筋書きです。

この大震災のとき、私は被災地もしくは近くに住んでいたわけでもないし、関西には親戚などもいないので、特に思い入れがあるわけではありません。が、震災からだいぶ時間がたってからその地を訪れる、というかこの場合は一種の帰還でしょうけど、そういう行為は分かる気がします。

震災だからと言ってみんなが被害者なわけでもありません。特にここで森山くん扮する役の父親は震災に便乗して阿漕な商売をやってしまい、結果、地元にいられなくなります。こういう人間喜劇が起こるのも震災のもたらす結果のうちでしょう。

サトエリの表情がとってもいい映画でもあります。もともと私は彼女が好きなんですが、この作品でまたまた惚れ込んでしまいました。うー、何とかサトエリをナンパしたい(笑)。

阪神大震災は体験しなかった私ですが、その十数年前、某都市に住んでいて大きな地震に会っています。その地震では30名近い死者が出ました。下校途中の小学生が、倒れかかってきたブロック塀の下敷きになって命を落とす例が多数出たのです。それから十余年後、別の都市に住むようになった私は家を建てましたが、ブロック塀は一切採用しませんでした。

しかしこの映画では、森山くんは建築の仕事に携わっているという設定ですが、大地震のときのマンションの安全設計については結構いい加減な実態が明らかにされています。大地震はいつ起こるか分からないし、起こったときには設計者は故人になっているかもしれず、そうなれば責任問題も生じないだろうという発想です。長期的に物事を考えることが不得手な日本人らしいいい加減さですが、天災と人災は紙一重。無駄でもいいから災害に備えたいものです。
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