こつぶライダー

50/50 フィフティ・フィフティのこつぶライダーのレビュー・感想・評価

4.5
看護学生時代、親友が好きだった作品。
B級スプラッターモノが好きな彼が珍しく勧めてきたのがこちらで、恐る恐る観た記憶がある(笑)

彼とは学生時代に常に一緒にいたのだが、普段からネジが外れていてふざけ倒した仲だったから、この手の真面目な題材を好きなのには驚いた。

若くして死の宣告を受けた主人公が、がん闘病を経て感じる人間関係を描いている。

親友や恋人、共に治療に励む仲間だったり、カウンセラーだったり、それは多岐に渡る。

暗くなりがちなテーマだが、あくまでも人生は明るいものとコメディ調に描いているため、好き嫌いは分かれそう。
ただ、多方は嫌味なく感じ取れる内容だと思う。

学生時代に観たとき、単純に自分の周りにいて本当に大切な存在とは自分自身が窮地に立ったときに、親身になって手を差し伸べ続ける人だと学んだ。

ただ、これは言葉に表せるほど簡単なわけではない。
「家族であろうが恋人であろうがちょっとした発言や仕草のひとつでネガティブな要素を与えてしまう」という細かい点については、それからの人生でより一層学んだし、当時の自分には感じ取れずにいたこと。

人生のターニングポイントとなる"がん"という病と向き合う。
死と隣り合わせになることで、不安定になる自分のメンタルを整えるためには、孤独に慣れるのではなく、孤独だと思わないような仲間作りも必要。

仕事柄、がんのみならず様々な病に触れてきた。その中で思うのが、仕事という役割を取り除いて、一人の人としてその人とどう向き合うのが正しいのか、常に自問自答することの大切さ。

例えば、今作の親友が主人公にどう接したのか?
カウンセラーがどう関わって信頼関係を構築したのか?

そこには、必ず役割を度外視した、人としての関わり方が鍵となっていたと思う。

私自身、仕事のプロとして患者・利用者と関わる一方で、同じ闘病する仲間としてサポートする視点で関わらなければいけないと毎度思う。

その想いが、時に逆効果を生むこともあり難しいのだが、たいていはその方の助けになったり、支えになったりすると分かる。

映画では、生と死を50/50にしたことで、助かるか助からないか、アリかナシかを白黒ハッキリさせていて分かりやすい。
……もちろん世の中にはグレーゾーンもあるが……。

だから、ハッピーエンドだとかバッドだとか、そういうのを振り払って、この経過が凄く好き。

人間いつかは死ぬんだし、それが早いか早くないか。ある程度、死を感じた人の方が、何が大切かを分かっている気がする。

色んなことを考えさせてくれる良質な作品。
こつぶライダー

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