柏エシディシ

欲望の翼の柏エシディシのレビュー・感想・評価

欲望の翼(1990年製作の映画)
4.0
はぁ〜、タマラン、、。

想いとはうらはらにすれ違う男女。
観客不在の孤独な舞踏。
戻らぬ時間を想起させる時計の存在。
涙を見せぬ人物のまるで慟哭の様に聞こえてくるラテンミュージック。

王家衛の2作目にして、そのスタイルが確立した1991年の傑作。
そして、今観ると後の彼の作品群はすべからく本作の変奏であると感じるし、ある意味、王家衛映画の完成形と断言して良いと思う。

冒頭のキザ過ぎるやりとり。レスリー・チャンじゃないとこうはいかないでしょう。ほんと、片想いスパイラルの本作における諸悪(?)の根源なんだけれど、ほんと悪魔的な魅力に満ちている。
レスリー演じるヨディも、ある意味永遠に報われる事のない「片想い」の犠牲者なんですけれど、ね。その影も含めて、本作のレスリーは孤高の存在感。

マギー・チャン、アンディ・ラウ、ジャッキー・チョン、トニー・レオン、、、その後の香港映画、いやアジア映画界を代表する様なトンデモないキャスティングですが、逆に言えば、本作に出演したからこそ、彼等彼女達のその後のキャリアを決定づけたとも言える訳で、途轍もなく偉大な作品でもある訳ですな。
久し振りの再見で、特に良かったのはカリーナ・ラウ。10代の時は、全くピクリともしませんでしたが、、いいわぁー。可愛いわぁ、、。

「脚の無い鳥」をはじめ、印象的な台詞もたくさん。
また、折にふれて観直したい一本。
柏エシディシ

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